「心の病気が原因でゴミ屋敷になるの?」
「病気を治療すればゴミ屋敷問題は解決する?」
ゴミ屋敷になる原因のひとつに「心理的な病気」があります。
しかし、一言で病気と言っても様々なものがあり、治療方法も対処の仕方もさまざまです。
今回はゴミ屋敷になりやすい心理的な病気とその理由について説明します。
目次
心理的な病気がゴミ屋敷の原因?
心理的な病気は、「だらしない」「片付けが苦手」といった事より、深刻なゴミ屋敷の原因のひとつです。
ゴミ屋敷の原因は心理的な病気も多い
ゴミ屋敷になってしまう原因は様々ですが、心理的な要因も多いのが特徴です。
「忙しくて片付けをする余裕がない」
「いつか使うかもしれないからと思うと物が捨てられない」
「物に囲まれていると安心していられる」
これらは、ゴミ屋敷に住む方にとってよくある心理です。
しかし、もっと深刻なのがいわゆる「心理的な病気」によるもの。
心理的な病気(心の病気)は、人の思考や行動に大きく影響を与えます。
「なにもやる気が起きない」といったものから「身体が重くて動けない」というものまで多岐にわたり、その結果、家がゴミ屋敷と化してしまうのです。
「心の病気でゴミ屋敷になるなんて考えられない」という人もいるかもしれません。
しかし、多くのゴミ屋敷問題に取り組む専門家の間では、心の病気が原因のひとつであるという共通の認識が存在しています。
▼ゴミ屋敷と人の心理についてはこちらの記事も参考にしてください▼
ゴミ屋敷に住んでいる人の心理とは?片付けできないのはSOSのサインかも
病気を治療すればゴミ屋敷問題は解決するの?
心の病気の治療が、必ずしもゴミ屋敷問題の解決にも繋がるというわけではありません。
ゴミ屋敷の原因には、過度なストレスなどによって起こる「うつ病」のような病気以外にも、発達障害など先天的なものも存在するからです。
もちろん、的確な治療を受けることは大切です。
しかし、簡単に治るものではないものが多いのもまた事実。
病気の種類によっては、本人が「得手不得手」や「できること・できないこと」を理解して根気よく付き合っていくことが必要な場合も多いものなのです。
同時に家族・友人・ボランティアなどのサポートも欠かせません。
つまりはまわりの人たちの理解も必要だと言えるでしょう。
心理的な病気の分類と特徴
心理的な病気については、世界保健機関(WHO)が作成した分類(通称ICD)の「精神及び行動の障害」に記載があります。
日本でも、厚生労働省がこの2013年版の『ICD-10』に準拠した規定に基づいて分類しています。
以下にその分類と特徴、良くある病気について説明します。
(出典:厚生労働省 疾病、傷害及び死因の統計分類 第5章)
①症状性を含む器質性精神障害
大脳に直接的に影響を与える疾患や全身の疾患が、複数の器官や機能に影響を及ぼし、その一部として脳にも影響を与える疾患などが該当します。
記憶・思考・認識力・計算力・学習能力・言語・判断力などのさまざまな障害が起きることにより、感情の制御や社会的行動、意欲の低下が現れます。
主な病気:アルツハイマー病、認知症
②精神作用物質使用による精神及び行動の障害
精神に作用する物質を使用することにより引き起こされる障害です。
その物質に依存することにより、幻聴や妄想・健忘症などが引き起こされます。
主な病気:アルコール依存症、薬物中毒
③統合失調症・統合失調症型障害及び妄想性障害
統合失調症性障害の特徴は、思考と感覚の歪んだ認識と感情の鈍さです。
一般的には、意識ははっきりしており、知的な能力は保たれていますが、時間の経過とともに認知力の問題が進行することがあります。
主要な症状には、考えごとが聞こえる「考想化声」・思考の干渉や奪取・妄想・他人の声を聞く幻覚・思考の混乱などがあります。
主な病気:統合失調症
④気分(感情)障害
気分(感情)障害は、感情が乏しくなり気分が沈んだ状態や、高揚感を感じる状態になるものです。
自分では制御できないほど気持ちが高揚したり、負の感情を止められなくなったりするのが特徴です。
主な病気:うつ病、双極性障害(躁うつ病)
⑤神経症性障害、ストレス関連障害及び身体表現性障害
このカテゴリーに分類されるのは、特定の状況や対象に対する強い恐れ、過去の精神的なトラウマや過度のストレスが原因で発症するものなどがあります。
症状によって社会性が失われる・日常生活に著しく支障が出るといった問題が発生します。
主な病気:強迫性障害(OCD)、適応障害
⑥生理的障害及び身体的要因に関連した行動症候群
この障害は、身体的な要因に関連して発生する症状が特徴です。
攻撃性が増す・過食や拒食・反抗的な態度・注意力の低下などが起こります。
主な病気:摂食障害
⑦成人の人格及び行動の障害
成人の特定の人格特性や行動パターンが限度を超えた状態のものが該当します。
人間関係や社会活動に影響を与えることも多いのが特徴です。
主な病気:買い物依存症、ギャンブル依存症
⑧知的障害(精神遅滞)
知的障害(精神遅滞)は、知的能力の適切な発達が阻害され、一般的な認知能力や問題解決能力が成長しないのが特徴です。
幼少期から始まることが多く、自分自身のケアや独立した生活を営めないといった重度の状態になることもあります。
⑨心理的発達の障害
心理的発達障害は、個人の心理的発達(言語・認知・感情など)が通常よりも遅れる病気です。
一般的に幼少期に発達の遅れや問題が発見されることが多くなっています。
言語障害やコミュニティー能力が未発達になることから、学業や人間関係などに影響が出ることが多いのが特徴です。
主な病気:アスペルガー症候群
⑩小児(児童)期及び青年期に通常発症する行動及び情緒の障害
ここにカテゴライズされるのは、子どもや青少年の成長過程で発症し、学業や社会的関係に影響を及ぼす障害です。
注意力が足りない・じっとしていられない・反抗的な態度を取るといったさまざまな問題が現れます。
主な病気:ADHD(注意欠陥多動性障害)
ゴミ屋敷を生みやすい心理的な病気7つとその理由
前項で紹介した中から、ゴミ屋敷の原因となっていると良く言われる代表的な病気とその理由についてご紹介します。
うつ病・双極性障害(分類④)
うつ病は「心の風邪」とも呼ばれるほど誰でもかかりうる病気です。
気分が落ち込み、何事にも興味や関心を示さなくなったり、眠れない・食欲がないといった症状が現れます。
そのため、以下のような理由でゴミ屋敷になりやすくなってしまいます。
・無気力感がひどく、片付けや掃除をしようという気力が湧かなくなる
・睡眠不足・食事を取らないことによるエネルギーの低下で、日常生活を送るのが難しくなる
双極性障害はいわゆる「躁うつ病」のことで、気分が異様に良い時とうつ状態を繰り返します。一般的に躁状態よりもうつ状態の方が期間が長いことが多く、うつ病と同じような理由でゴミ屋敷になりやすくなるのです。
統合失調症(分類③)
統合失調症は「幻覚や幻聴が起こる」「被害妄想など、人が話していることが全て自分に関係することだと認識してしまう」といった症状が特徴です。
しかし、それ以外にも
「何かを考えようとしても上手くまとめることができない」
「相手の言っていることが理解できない」
といった認知や行動にも問題が起きます。
音・人の声・光といったものにも過敏に反応してしまったり、集中力が続かず疲れやすくなったりするので、人付き合いを避けて引きこもりがちになることも少なくありません。
ゴミ屋敷になってしまうのは以下のような症状です。
・習慣的に行っていたことのひとつひとつを意識しないと行えなくなることから、整理整頓や掃除などを行うのが難しくなる
・自分自身の衛生状態を維持するのが苦手になる(着替えや入浴などをしなくなる)
ADHD(注意欠陥多動性障害・分類⑩)
ADHDは、注意欠如・多動性障害という名称のとおり、「集中力が持続しない」「じっとしていることが苦手」というふたつの症状が顕著に現れます。
衝動的に何か行動を起こしてしまい、それがどういう結果になるのかまで考えが及ばず、まわりとトラブルを起こしてしまうこともあります。
ゴミ屋敷になりやすくなるのは以下のような症状です。
・毎日の決まった作業を行うことが苦手になって、片付けや整理整頓などに取り組むことが難しくなる
強迫性障害(OCD・分類⑤)
強迫性障害は、不安や不快感を伴う強迫観念と呼ばれる思考が現れ、それから逃れようとするためにまわりから見ると不可解な言動を起こす病気です。
例えば、「自分の手が汚れている」と感じて何度も手を洗ったり、物を決まった順番に並べないと気が済まなくなったりといった行動を取ってしまうことがあります。
そのため、以下のような症状でゴミ屋敷になりやすくなります。
・(手洗いなどの)繰り返し行動によって、時間を取られて片付けや掃除などがおろそかになってしまう
・過度に物を収集する・物を捨てないといった強迫観念にとらわれて、物が溜まってしまう
買い物依存症(分類⑦)
買い物依存症は「ショッピング中毒」とも呼ばれ、お金を自由に使える成人の病気です。
買い物をすることにより一時的なストレス発散や満足感を得られることから、病的に買い物習慣や欲望に支配されます。
ですので、以下のような行動がゴミ屋敷の原因になります。
・物をひたすら買い続けて、部屋の中が一杯になってしまう(買うことが大切なので使わない物も多い)
・買い物をすることがすべてとなり、日常生活(片付けや掃除)がおろそかになる
アスペルガー症候群(分類⑨)
アスペルガー症候群は、相手の感情や表情・ジェスチャーなどを理解するのが難しいため、他人とのコミュニケーションを取るのが難しくなります。
共感力に乏しいため「相手の立場になって考える」ことが難しい場合が少なくありません。
たとえ話などをそのまま受け取ってしまい、会話がスムーズに進まないこともあります。
興味を持つ範囲が極端に狭く、その分野に関しては饒舌になったりします。
ゴミ屋敷化しやすい症状には以下のようなものがあります。
・特定の趣味や興味のあるものに熱中し、関連するアイテムなどを収集してしまう
・物事を柔軟に捉えることが難しく、物の整理や処分に困難が伴う
・他人とのコミュニケーションが難しいことから、自分の部屋や物に対する依存度が高くなる傾向がある
・物の配置に過敏で、変えることを嫌がる(不要になっても捨てられない)
ためこみ症
ため込み症はその名前のとおり、物をため込んでしまう病気です。
その症状は全てゴミ屋敷を作り出してしまう原因となります。
・一般的に必要でないものまで集めてしまう
・ため込んだ物を整理整頓し、適切な管理をすることが難しい
・一度集めた物を捨てることで精神的に不安になったりストレスになるため、処分することが困難になる
なお、ためこみ症についてはICD-10に記載がありませんが、ICD-11では追加されることが決まっています。
心理的な病気によるゴミ屋敷解消のために必要なこととは
では実際に病気でゴミ屋敷になってしまった場合にはどうすればいいでしょうか。
ここではその対策についてお話しします。
治療を受けて病気と向き合う
まず、自分が病気であることを自覚することが大切です。
中には自分では気が付かないこともありますので、身近な人に心配されたり指摘されたりした時は、素直に受診するようにしましょう。
精神的な病気は薬物治療が一般的ですが、病気によってはそれ以外の指導が行われることがあります。
医師などの指導に従って適切な治療を受けると同時に、「何ができて何ができないのか」を理解し「物を適切に管理するスキルの向上」を目指しましょう。
まわりのサポート
病気の治療にはまわりのサポートも欠かせません。
いつもと違うなと感じたら、相手にそれを伝えて通院を促すことも大切です。
病気によっては投薬だけでなく、認知行動療法などを組み合わせる場合があります。
医師の指示に従い、本人が無理なく暮らせるようにサポートすることで、病状が改善したり、日常生活が送りやすくなったりすることも多いことを理解しましょう。
なお、本人がゴミ屋敷を解消したいと考えているのであれば、清掃業者を手配してあげることも大切です。
ただし、再び元の状態に戻らないように時々様子を見に行ったり、家事代行の依頼が必要になるかもしれないということは覚えておきましょう。
自治体やボランティアの協力が得られることもあるので、相談してみるのもおすすめです。
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まとめ:心理的病気と上手に付き合うことが大切
一言で「心理的な病気」といっても症状はさまざま。
しかし、病気だから何をしても無駄と思ってしまうのは間違いです。
実際、病気ときちんと向き合い、できることを少しずつ行って生活している人はたくさんいます。
治療を受ければ完治する病気ばかりではありませんが、上手に付き合っていくことでゴミ屋敷の改善にも近づくかもしれません。