「部屋を片付けようと手を付け始めても、集中力が続かなくて最後まで終わらない」
「散らかった部屋の掃除をする計画を立てようとしてもどうしていいか分からなくなる」
「本やインターネットの片付け方の説明を読んでも意味が理解できないことがある」
そんな経験はありませんか?
部屋がゴミ屋敷になる原因のひとつに「発達障害」があります。
発達障害というと子どもの頃に発見されるものという印象がありますが、症状が軽度な場合は大人になって気付くことも少なくありません。
集中力が続かなかったり複数の作業を並行して行えなかったりするのは、単純に自分の能力が劣っているからというわけではない可能性も十分考えられます。
今回はゴミ屋敷の原因になりやすい発達障害の特徴や対処の仕方について解説するとともに、公的な支援制度についてもご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
目次
発達障害とは
まず最初に「発達障害」とはどのようなものなのかを見ていきましょう。
発達障害は脳機能の発達に関係する障害
発達障害とは、持って生まれた脳機能の発達に関係する障害です。
種類によって症状が異なり、場合によっては複数の障害が出ることもあります。
また、障害の重さによっても症状の出方が異なるため、非常に個人差が大きくなっています。
主な症状としては以下のようなものが挙げられます。
● 他人とコミュニケーションを取るのが難しい
● 行動や興味が著しく偏っている
● 集中力が続かない
● ひとつのことに集中しすぎる傾向がある
● じっとしていることができない
● 読み書きや計算が苦手
大人になるまで発達障害に気が付かないこともある
発達障害と聞くと「子どものときに発見されるもの」と思っている人も少なくないはずです。
しかし、症状が軽度であったり特性が目立ちにくかったりする場合、そのまま大人になってしまうことは珍しくないのです。
また、親や親戚などが発達障害の知識を持っておらず、何か違うなと思ってもそのままになってしまうこともあるでしょう。
診断がなされないまま年齢が上がり、自分で考えてまわりとうまくやらなければならない機会が増えると、段々と困難な状況が増えていきます。
学校で友達とコミュニケーションが取れず孤立してしまったり、仕事で同じミスを繰り返してしまったりすることも良くあります。
発達障害でなくても「忘れっぽい」「社交的でない」という人も多いため、気になることがある場合は診断を受けることが大切です。
大人の発達障害の種類と特徴
発達障害にはいくつかの種類がありますが、場合によっては複数の障害を併発していることもあります(下図参照)。
主な発達障害の種類は以下のとおりです。
①自閉スペクトラム症(ASD)
②アスペルガー症候群
③注意欠陥多動性障害(ADHD)
④学習障害(LD)
次から各障害について詳しく見ていきましょう。
①自閉スペクトラム症(ASD)
自閉スペクトラム症は「人とコミュニケーションを取るのが苦手」「社会的な相互作用が困難」「物事に強いこだわりがある」といった特徴をもつ発達障害です。
時代によって呼び方やその定義が異なることもありましたが、現在では「自閉症」「アスペルガー症候群」「広汎性発達障害」などの総称として使用されています。
言葉の発達の遅れなどが見られることがありますが、この場合は乳幼児に発見されることがほとんどです。
また、女性に比べ男性の発症数が4倍高いという研究結果もあります。
自閉スペクトラム症の主な症状は以下のとおりです。
● 他の人とどうやってコミュニケーションを取っていいか分からない
● 非言語コミュニケーション(ジェスチャーや表情)が理解できない
● 言葉をそのまま受け取ってしまい、他人の意図を汲み取れない
● 集団行動が苦手
● 特定の事柄にこだわりが強く、臨機応変に対応できない
● ひとつのことに夢中になると他にしなければならないことを忘れてしまう
● 計画を立てるのが難しい
● 人が気にしないような服のタグなどが肌に触れると不快になる
②アスペルガー症候群
アスペルガー症候群は自閉スペクトラム症(ASD)に含まれる障害のひとつです。
自閉スペクトラム症(ASD)と分けて考えるのではなく、その一部と捉える方が分かりやすいかもしれません。
そのため、症状としては自閉スペクトラム症(ASD)とほぼ変わりませんが、アスペルガー症候群では知的障害が起こらないことが大きな違いといえるでしょう。
また、自閉スペクトラム症(ASD)の中では軽症の部類に入るため、大人になるまで気が付かないことが多くなっています。
アスペルガー症候群では興味や関心を示す事柄が非常に限られていますが、その特定の分野では集中力が高くなって天才的な能力を見せることがあります。
③注意欠陥多動性障害(ADHD)
注意欠陥多動性障害(ADHD)は「注意力不足」「多動性」「衝動性」の3つが特徴の発達障害です。
小学校などで授業中にじっとしていられずに歩き回ってしまう…といった行動が話題になったこともあるので、知っている人も多いのではないでしょうか。
注意欠陥多動性障害(ADHD)の主な症状は以下のとおりです。
● 集中力が散漫で、ひとつの作業を継続することが難しい
● 物を失くしやすい
● 順序立てて行動することができない
● 静かにしていることが苦手でじっとしていられない
● 不用意な発言や突発的な行動が多い
● 決まりごとが守れない
④学習障害(LD)
学習障害(LD)は、読む・書く・計算するといった分野に障害が出る障害です。
ただし、知的障害はなく、特定の学習行為にのみ症状が発生します。
軽度の場合は「全くできない」のではなく「時間をかければ分かる・できる」という場合もあるので、ある程度の年齢になるまで気が付かないこともあります。
学習障害(LD)の主な症状は以下のとおりです。
● 文章を読んでも内容を理解するのが難しかったり遅かったりする
● 筋道を立てて文章を書くのが苦手
● 計算ができない(数の概念の理解が難しい)
● 推論が苦手なため、「行動の結果」や「結果から原因を探る」といったことが難しい
発達障害がゴミ屋敷の原因となる理由
4つの発達障害の特徴をご説明してきましたが、ここではその中でも特に「ゴミ屋敷になってしまう理由」について詳しく説明します。
集中力がない・続かない
多くの発達障害に共通する問題のひとつは、片付けなどの作業に集中して取り組めないことです。
「ゴミを集めて捨てる」という行為も途中で何かに気を取られて中途半端に終わってしまい、その繰り返しの結果として部屋がゴミ屋敷になってしまいます。
一旦ゴミ屋敷になってしまうと計画的に作業をこなさなければなりませんが、計画を立てるのも計画通りに進めるのも難しく、自分では対処ができなくなってしまうのです。
複数の作業を同時にこなすことが難しい
効率的に片付けを行うためには、時に複数のことを同時進行で行うことも必要になってきます。
例えば、トイレや水回りの汚れを落とすのに薬剤を使い、放置している間に別の場所の整理をするといったことが考えられます。
しかし、発達障害のある人の場合、この「同時に複数の作業をこなす(マルチタスク)」が難しいことが多いのです。
ひとつの作業に取り掛かると他の作業のことを忘れてしまうため、ひとつずつ手を付けることになりますが、集中力が続かないので結局放置されてしまうことが少なくありません。
計画を立てるのが難しい
「部屋をきれいにしよう」と思い立っても、「どういった順番で片付けを行えばいいのかよく分からない」「計画を立てられない」といったことも良く起こります。
汚れてしまった部屋を片付けるには、ある程度長い期間で取り組む必要があります。
片付けの順番だけでなく、ゴミの回収日なども計算に入れて行わないと、部屋の中にゴミ袋の山ができてしまうこともあるでしょう。
仮に計画を立てることができても、イレギュラーなことが発生した時に対応できずに片付けを断念してしまうことも考えられます。
分別方法が理解できない
ゴミを捨てる際も、分別方法や出し方などのルールがあります。
しかし、ルールをきちんと理解できないことにより、何でもゴミ袋に入れて出してしまい、回収されずにゴミステーションに放置されてしまう可能性が高くなります。
最近ではどの自治体でも分別方法が厳しくなってきています。
集合住宅などでもゴミの出し方が悪いと大家や管理会社から苦情が出ることもありますので注意が必要です。
こだわりが強すぎる
「こだわりが強い」という症状が強く出ると、家具の角度や物の配置などを変えることができずに片付けが全く進まなくなる可能性があります。
また、本人にとって大切なものとそうでないものがズレていると、本当は失くしてはいけない物を間違って捨ててしまい、後で大きな問題になることもあるかもしれません。
片付けの計画があったとしても、思いどおりに進まずにイライラして片付けそのものを止めてしまう場合もあります。
自分のルールに合わない作業をすることが、その人にとって非常にストレスになるからです。
ゴミの存在に気が付かない
自閉スペクトラム症(ASD)や注意欠陥多動性障害(ADHD)の症状があると起こりやすいのが「感覚鈍麻(かんかくどんま)」です。
それぞれは病気とは扱われないものの、症状のひとつとして現れやすくなります。
感覚鈍麻は五感が鈍くなり、刺激に反応しなくなってしまうため、部屋のゴミの存在や臭いなどに気が付きにくくなってしまい、ゴミ屋敷化しやすくなります。
発達障害の人が部屋をきれいに保つ方法
発達障害の特徴やゴミ屋敷の原因の中に当てはまることがあったときは、以下のような対策を取ることで部屋をきれいにすることが可能です。
病院で診察を受けて症状を理解する
まずは専門の病院を受診し、原因を特定しましょう。
どこに行けばいいかよく分からない場合は、後述する「発達障害者支援センター」で相談することも可能です。
精神科や精神神経科などを受診することが多いと考えられますが、多くが予約制になっていますので受診前には病院に問い合わせをしてみる方がいいでしょう。
症状に合った片付け方を身に付ける
片付け方に関する情報はインターネットや書籍などで手に入れることができますが、それをそのまま行おうとするのは難しいといえます。
まずは「何ができなくて困っているのか」「できることは何なのか」を理解しましょう。
病院を受診している場合であれば、医師やカウンセラーなどから専門家がアドバイスをもらうことが可能です。
歩みは遅くても、ひとつずつ克服していくことで、できることは増えていくはずです。
勝手に通院を止めたりせずに、根気よく自分に向き合うことが大切です。
必要な時はサポートを受ける
受診して病名が分かっても、すぐに何でもできるようになるわけではありません。
自分だけで何とかしようと思わずに、誰かに手伝ってもらえるようにしておくことも大切です。
家族や友人などに手伝いを頼むのもいいですし、一定以上の障害があると認められれば公的なサポートを受けられる場合もあります。
「ゴミ屋敷」というほど酷くない場合は、家事代行サービスを依頼するという手もあります。
物を減らしてシンプルな片付けができるようにする
既にゴミ屋敷化してしまっている場合は、一度部屋のゴミや不用品を減らしてから、自分が片付けをしやすいように整理しなおすという方法がおすすめです。
人によって「できること」や「やりやすい方法」が異なりますが、医師やカウンセラーなどに相談してみるといいでしょう。
また、同じ障害を抱える人たちのグループなどに入って、他の人がどうしているか聞いてみるのも参考になります。
ゴミ屋敷の片付けは個人では難しい場合も少なくありませんので、ゴミ屋敷清掃業者に依頼するのが便利です。
ゴミ屋敷の片付けを業者に依頼する流れ
ここではゴミ屋敷の片付けを業者に依頼する時の流れについて簡単に説明します。
ゴミ屋敷清掃業者に見積もりを依頼する
まず、インターネットなどでどんな業者があるかを調べてください。
そして、実際に問い合わせを行い、見積もりを取ってみましょう。
実際に部屋を見て見積もりを出す業者もありますが、部屋の写真を送ることでざっくりとした見積もりを出してくれる場合もあります。
少しでも安くしたい場合は複数の業者から見積もりを取って、検討するのがいいでしょう。
多くの業者では見積もりは無料で行ってくれます。
この時、極端に安い金額を提示してくる業者がある場合、追加で色々と請求されることがあるので避けた方が安心です。
内容を確認して作業を依頼する
見積もりを検討して業者を選んだら、実際に業者に作業を依頼します。
この時、希望する日にちや時間があればきちんと伝えましょう。
もし、「とにかく早く作業をしてもらいたい」という場合は、見積もりを依頼する時にその旨を伝えておきます。
複数の見積もりを取ることは難しいかもしれませんが、大体の費用が分かっている方が安心できるはずです。
写真などでざっくりした見積もりを取った場合は、その場でもう一度きちんとした見積もりをしてもらい料金を確認して、契約となります。
後は全て業者にお任せとなりますが、大事な書類や失くしてしまった物などを伝えておくときちんと取っておいてくれます。
片付けが終わったら料金を支払う
作業が全て終わったら、業者と一緒に部屋の中を確認します。
問題がなければ料金を支払って終わりです。
支払い方法は現金以外でもカードや電子マネーが選べることがあります。
業者によって異なるので、ホームページか問い合わせをする際に確認しておきましょう。
ごく一部ですが、分割払いなどを受け付けている業者もあります。
発達障害の人が受けられる公的支援の種類
ここでは発達障害を持つ人が受けられる公的支援について解説します。
精神障害者保健福祉手帳(障害者手帳)
精神障害者保健福祉手帳は障害者手帳のうち、精神的な病気や障害がある人に対して交付されるものです。
取得には医師の診断書が必要で、実際に交付するかどうかは自治体が判断します。
精神障害者保健福祉手帳には1~3級があり、支援内容が異なりますが、いずれも精神障害がある人が自立して生活するための一助となることを目的としています。
この手帳を取得すると、「企業の障害者枠への応募」「税金の優遇」「NHKや携帯電話代金の割引や助成」などが受けられます。
また、自治体によっては自宅の清掃・整理整頓のサポート・生活支援員の定期的な訪問といったサービスが受けられる場合もあります。
自治体ごとのサービスについては、お住いの自治体のホームページまたは窓口にお問い合わせ下さい。
自立支援医療制度
自立支援医療制度は、精神障害や精神的な病を持つ人が通院にかかる費用の負担を1割に軽減するものです。
こちらも医師の診断書が必要で、自立支援単独でも申請できますが、精神障害者保健福祉手帳と両方取得することも可能です。
収入によって月ごとの上限が設定されており、上限を超えた分の支払いは免除されます。
自立支援医療制度の申請先もお住いの自治体となっています。
発達障害者支援センター
発達障害者支援センターは、発達障害のある人とその家族を支援するための施設で、全ての都道府県に設置されています。
主に相談・支援・情報提供・専門的なアドバイス・社会進出の促進などに関する業務を行い、関係する医療・福祉・教育などの専門機関と連携してその人に合った支援プランの作成を行っています。
他にも発達障害に関するセミナーや講座などを開き、地域社会への理解を深める役割を担っています。
施設によっては予約制となっているため、詳しくは各自治体の発達障害者支援センターにお問い合わせください。
ゴミ屋敷の片付けを依頼するなら「お片付け24時」に相談を!
「お片付け24時」では、発達障害をお持ちの方からのご依頼も数多くお受けしています。
無理をしてストレスを溜めてしまうよりも、思い切って相談してみることも時には必要かもしれません。
お片付け24時では、公式LINEや専用フォームだけでなく、お電話での相談も24時間・年中無休で対応しています。
写真による見積もりも行っており、見積もりやご相談は無料でキャンセル料もかかりません。
また、一括払いは難しいという方のために独自の「現金の分割払い」や「後払い」制度を設けています。
頭金も不要で、クレジットカードがなくてもOKのため、多くの方にご利用いただいております。
最短で、お問い合わせいただいた日のうちに片付けを行うことも可能ですので、ぜひお気軽にお問い合わせください。
お片付け24時の実績紹介
「発達障害があり、普段からゴミを放置しがちで気が付くと部屋がゴミだらけに…」
「ゴミが溜まると隅に寄せて生活していて、家に帰るのが嫌だと感じてしまう」
▼埼玉県さいたま市北区の自力では片付けられないお部屋の片付け代行とゴミ回収▼
● 作業内容:ゴミの処分、不用品の回収、部屋の清掃
● 作業人数:3人
お客様は発達障害をお持ちで、どうしても片付けができずに困っていたようです。
きれいにしたいと思っても、気が付くとゴミや不用品で一杯になってしまい、最近ではゴキブリなどが出没することも多いために部屋に帰ることも嫌だと感じてしまっていた、とのことでした。
そんな時、久しぶりに友人が遊びに来ることになったので、汚い部屋を見られたくないとの思いから複数の片付け代行やゴミ屋敷清掃業者に相談したところ、お金がない状況でも後払いが可能な「お片付け24時」にご依頼下さいました。
スタッフが3人がかりで収納や部屋の隅に押し込まれている不用品やゴミを回収し、食べかすなどで汚れた床をきれいに清掃。
スッキリとよみがえった部屋を見たお客様は笑顔になってくださり、スタッフも嬉しく感じました。
【即日対応・分割払い可能!さいたま市のゴミ屋敷片付け・清掃を依頼するならお片付け24時】
まとめ:まずは現状を正しく理解することから始めよう
今回の記事を読んで思い当たることがあった場合、速やかに病院を受診して現状を正しく理解することが大切です。
その上でどのように対応していくのが良いのかを、まわりの人や専門家などのサポートを受けて「なるべく暮らしやすい生活」を目指していきましょう。
発達障害は病気であり、病気が原因で部屋が汚くなることはその人が怠慢だからではありません。
協力してもらったり、今ある公的支援を受けたりすることを恥ずかしいと思う必要はないのです。
自分らしい暮らしができるように、できることから少しずつ始めてみてはいかがでしょうか。